アスペルガー症候群(幻冬社)
先日、通勤で利用している湘南新宿ラインが人身事故で遅延したりしたため、普段よりも通勤に時間がかかることが明らかだったので、駅の書店で表題の本「アスペルガー症候群」を購入した。
僕自身も、ありていにい言えば、この傾向を持っており、自分なりに理解はしているものの、もう少し理解を深めておくのが良いだろうと考えたためだが、正直あまりこの本は有効ではなかった。
この本では、アスペルガー症候群についての解説を、病や障害という点ではなく、その特質が社会において、どう役立ちうるのかという観点から行っている。また、そういう人にどう周囲が対応すれば、その人の長所を生かすことができるか、また不足を補うことができるか、そして子どものころからどのように周囲が育てていけば良いのかといったことについても述べられている。これらは、アスペルガー症候群に限った話ではなく、普通の人の苦手に対して周囲がどう向き合うかということにも通じるものであり、また、自省する力を持つ人にとっては自分自身をどう育てていけば良いのかという指針にもなるものだろう。
残念なのは、この症候群が特別なものではないということを言うために、いわゆる”変りもの”有名人を沢山紹介しているのだが、その大部分が、~と考えられている。~と言われている。という調子で、本当にそうだったかはわからないとうことだ。あくまで、行動等から推察されているに留まっている。しかもそう推察した人が誰かも指摘されていない。根拠があいまいなのだ。まあ、結論から書くとトンデモ本。
そもそも、この症候群が例え”Gift”であったとしても、やはりそれを抱えて生きていかねばならぬ本人、そしてその周囲の人にとってやっぱり負担となる部分がある。それは有名人・著名人・成功者が先人として存在するということとは別の問題だ。また、対処方法についても一般的な”そういう人”一般に当てはまる話でしかない。
正直タイトルを「人付き合いが苦手な部下をいかす方法」とか「変わり者の使い方」とでもしたほうが良いのではないかと思う。
アスペルガー症候群という言葉をつかわずに、苦手とどう向き合えば良いのか、あるいは極端に苦手なものがある人をどうサポートすれば良いか、ということを考えるため本を捉えなおすと、変なLifeHackの本や仕事効率化の本を読むよりも有用だと思う。