質的研究法の入門ガイド

質的研究法というのがある。

僕が研究のお手伝いをさせていただいている大学院ではこの質的研究法が重要な方法論になっている。

質的研究法というのは様々な方法の総称で、それはマラソンやら槍投げやらを総称して陸上競技と言うのと似ている。

質的研究法がどのような方法かというと、対となる量的研究法との比較で説明を試みると、量的研究法がアンケートなどの方法でデータを集め、統計的に分析するようなものなのに対して、質的研究法は回答の個別性に着目する。量的研究法が、回答者の個性を量で希釈する方法とあえて言うならば、質的研究は回答者の個性を全面的に採用するし、それを際立たせる方法でである。

(ちなみに、ちょっとややこしいことに質的調査法というのがある。アンケートの自由解答からキーワードの数をカウントしたりする方法があるが、これは量的研究法なのだ。理由はカウントするし、解答の中の言い回しのような部分は見ないためだ。)

最近、質的研究法について学びたいという学生が数名僕の周りに出てきた。

大学院のカリキュラムで一通りのことは学ぶはずで、かつその担当の先生は僕なんかよりもはるかに質的研究に精通している。しかし、知識をうまく飲み込めていないかはわからないが、(あるいは履修していないのか)学びたいらしい。

そこで僕のお勧めの自習ガイドをまとめておくことにした。

質的研究法の総論

質的研究入門―「人間の科学」のための方法論

この本では、質的研究法の歴史的な経緯やそれを支える哲学、方法論などについてまとめられている。

質的研究法では哲学や方法論は否定しあうものではなく、共存可能であり、問題に応じて選択したり新たに組合せて作り出す必要がある。しかしそもそもどんな選択肢があるのか、あるいは組合せるための材料があるのか、というのはなかなか知識を得る機会がない。この書籍はこれらについての基本的な知識を提供する。

研究以前のモンダイ 看護研究で迷わないための超入門講座 (JJNスペシャル)

上記の入門から、次のプロセス理解への橋渡しとなるのが、この書籍である。現象学の立場から質的研究法について導入していく。また「研究法」ということについての理解のガイドを示す。

質的研究法のプロセスの理解

ライブ講義・質的研究とは何か (SCQRMベーシック編)

ライブ講義・質的研究とは何か (SCQRMアドバンス編)

この2冊は講義の書き起し形式で、質的研究法のプロセスが語られている。特にM-GTA法を実際の研究の中で使う際の手続き論がまとめられている。

まずはここまで。